塾長ブログ

2023.09.06

みらい検定(塾報4月号より)

  今年度より新検定「珠算式暗算能力到達度検定(みらい検定)」が始まり、プレテストとして5月にそろばん、6月にあんざんの試験が行われます。プレテストは証書は発行されませんが無料で受験できます。

 みらい検定は従来からある1級までの検定試験とは合格システムが異なり、点数で合格級が決まる試験です。問題の種類はそろばん・あんざんともに3種類。レベル1では10級~7級、レベル2では6級~4級、レベル3では3級~1級が認定されます。かけ(暗)、わり(暗)算、みとり(暗)算それぞれが基準点を超え、かつ合計点が基準点を超えていれば「○級合格」、種目の基準点は超えていないものの3種目の合計点が基準点を超えていれば「準○級合格」となります。
 星の郷教室では4年前からみらい検定の問題を練習メニューに採り入れて有効性を確かめてきましたが、能力検定3級受験者の平均学習期間が採用後に何と1年も短縮され、その傾向は変わることがないことがわかりました。また同様の効果は他の教室においても顕著に表れていることから、一般社団法人大阪珠算協会は公式試験として採用することが決定したものです。
 今後は従来から行っている暗算検定の練習を通じて技術を高めることもできますし、みらい検定で暗算力をのばすこともできます。またそろばんの試験としては、「みらい検定→能力検定→段位試験」のルートと、「みらい検定→段位試験」というルートができました。
 5月のそろばんプレテスト、6月のあんざんプレテストは段位練習生以外は全員受験できますので、できるだけ受けましょう。ただし、グランプリ大阪大会出場者、6月3日の暗算検定受験者、6月25日の能力検定1~3級受験者はその時の練習内容や状況によって受験するかどうかを決定します。5月そろばんプレテストの日程は5月22日から27日です。27日に最も近い出席日の授業時間中に受験しましょう。申し込みは必要ありません。受験週間には毎時間、開始前に受験希望者を
確認します。

2023.09.05

人は間違えて当然(塾報2月号より)

○書いて覚える
 私が小中学生の頃、漢字は「とにかく書いて覚えよ」と学校の先生に教わりました。漢字練習帳に一つの漢字を10回書くという宿題が連日あって、課題をこなすためには理屈も何も考えずただひたすら書くことに目的と意識が集中していました。それでも反復練習の威力は結構あるのかして、必要な漢字はクラスの多くの生徒が覚えていったのでしょう。
 クラスメイトのAは、「旧」という漢字を10回書く宿題で、まず定規をもってきてマス目の左に「|」を続けて10マス書き、続いてマス目の中央に「|」を10マス、さらに右端に「|」を10マス、次にノートを横長に向きを変えて短めの「|」を一マスにつき3本書いて誰よりも早く仕上げて得意になっていました。下手な脅迫状のできあがりです。
 「10回書く」ことの意味を10回という回数に置くとAのようなことをする人間が出てきます。「覚えるまで書く」のが本来の目的なのでしょうが、一斉に指示を出すには全員に伝わるようなわかりやすさも重要なことから、10回という指定があったのでしょう。
 英単語も同様に「書いて覚える」ことを推奨する指導が多いようです。
○いろいろなタイプ
 では「かけ算九九」はどうでしょうか。また古典の名文の暗記はどうでしょう。
 この2つは書くことに最終目標があるわけではないので、「書いて覚える」よりも口に出して音で覚えたり意味で覚えたりする方法が多くとられています。
 被疑者の容姿を覚えて犯人逮捕に結びつける「見当たり捜査」も犯人の顔を描いて覚えるわけではないと思います。
 自転車の乗り方や自動車の運転、そろばんの計算も「何回も文字に書いて覚える」ものではありません。赤ん坊が色々なものを吸収するときに書いて覚えるのも見たことがありません。
 私たちは何かを覚えるために目的に合った方法をあまり意識することもなく区別して採用していますが、生徒の皆さんに教室で指導するときには少しばかり意識しなければならないポイントがあります。それは、どの感覚が強いかという特性を考慮して指導に当たることです。
 人間には視覚領域が優れているタイプ、聴覚領域が優れているタイプ、体感覚が優れているタイプの3つほどのタイプがあって、それぞれが理屈で覚えるタイプと理屈抜きで覚えるタイプに分かれています。また2つ以上の領域が覚える対象により補完的に作用しあって、効果を発揮する場合もあります。そこに年齢や発達による違い、モチベーションの濃淡も加わってきます。
 連合艦隊司令長官・山本五十六の言葉「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」には、視覚・聴覚・体感覚のすべてを網羅した指導とコーチングの要諦が見事にまとめられていてまさに至言です。
○多様性の尊重
 「書いて覚えよ」と指示する指導者は、自身がそうして覚えてきてうまくいったというほどのことであって、書くよりも目で見て形から入る方が向いている人もいれば、耳から入る情報のほうが理解が早いという人もいます。要するに、人はタイプがバラバラで、だからこそおもしろいのです。人は試行錯誤を繰り返す中で、特性に応じた学習法を自分自身で見つけ出していきます。
 そろばん教室では「視覚に訴えるか聴覚に働きかけるか、あるいは回数をこなして感覚を身につけていくか」を生徒との日々の関わりの中で私たちは一人ひとりに応じた指導方法を探っています。
○個別対応
 指導方法・指導レベルは完全な個別対応です。たとえば5の合成を利用する「2+3」の指導を考えても、言葉や図を示しての具体的な提示をともなう指導をするか既習事項を示してからの示唆にとどめるかはそれまでの生徒の進み方によって異なります。また指導をするにしても、その際に採用する説明方法や言葉は多種類あり、説明にかける時間も生徒によって区別します。少しだけ説明して生徒の反応を待ち、おそるおそるでも正しく指が動き始めるであろう感触を持てた時には、そこで説明を打ち切る場合もあります。
○経験を積む
 カリキュラムはあるものの、進度に期限を定めていない点が学校とそろばん教室との大きな違いです。ですから猛烈な早さで進む生徒がいるかと思えば、遅々として進まない生徒もいます。しかし、進みの遅い生徒はいつまでも遅いままではありません。強烈に伸びたいという意欲を持っていますが、その意欲をうまく表出することができなかったり、伸びたい意欲を打ち消してしまうほどのマイナスイメージをもっていたり、理解しているにもかかわらず自信のなさが意欲にふたをしてしまっている場合に進度が停滞気味になりますが、ある日突然パッと霧が晴れたように進み出すことを誰もが経験します。霧の濃さや霧の晴れ方に程度の差はありますが、その差は実はあまり重要ではなくて、大切なのは「霧が晴れた」という経験が蓄積されていくことです。
 何かに行き詰まって物事が進まず壁にぶち当たったとき、この「霧が晴れたように物事の道筋が見えた」という経験の多寡は生き抜く上でおそらくかなり重要なことだと思います。
 視覚・聴覚・体感覚。3つの感覚のうち、分野に応じて最も適している感覚を自分自身で知り、磨いていくことは、すなわち伸びる方法を自分で獲得していくことに他なりません。
 そろばんの練習を通じて生徒の皆さんは「伸び方・学び方」を身につけていって下さい。
 ご家庭でも子育てでうまくいかないとき、目・耳・体感覚へのアプローチの仕方を変えてみるのも有効ですよ。

 

2023.02.19

間違い直しの意義(塾報1月号より)

 現在、2月12日の検定試験に向けて84名の受験生が、それぞれの時間が許す範囲で合格・昇段に向けて熱心に取り組んでいます。教室でも特別練習時間を設定したり、間違い直しが終わるまで練習時間の延長を推奨したりして対応しています。
試験は得点で合否・昇段が決定されますから、はじめは合否、次に点数に意識が向きます。練習でも合格点が出ない間は最高点の更新を目指して取り組み、徐々に合格点に近づけていきます。
練習時における合格や高得点は自信につながりますからそれらに一喜一憂することは当然のことですが、指導側はそんな生徒を尻目にひたすら指導すべき点を探します。
バツにはバツになる理由があります。
間違えの内容を指摘したあと、原因を考えるように指示することもありますし、原因を教える場合もあります。そして、同様の間違いを防ぐために必要な技術や意識の持ち方を確認した後、練習で実現できるかどうかを試していきます。
間違いそうな場面にさしかかったときに間違いを未然に防いだり、そもそも間違わないように調整しながら課題をこなす能力を身につけることが目標です。これはそろばんに限らず、勉強や仕事においても必要な能力ですが、一朝一夕で身につくものではありません。間違い直しをしていく中で少しずつ少しずつ備わっていく能力です。
正解や点数は今までの成果を表し、間違いには将来の成功を約束するヒントが含まれています。
伸びる人は、間違いを恐れず、間違いから目を背けず、間違いから多くの教訓を学び取る人です。
間違い直しは、単に間違った答えを正しいものへと変える作業ではなく、同じ間違いを防ぐための工夫を考察することまでも含めてのものです。精神力を必要とする地道なものですが人としての総合力を高めていきます。

2023.02.19

失敗は成功のもと(塾報12月号より)

 そろばんや暗算の練習は、正しく速く物事を処理する訓練です。
正しく速く処理するためには反復練習が不可欠ですが、どれだけの反復を必要とするかは、『繰り返す間違いを防ぐ意識』の強さにかかっています。
気を付けていても間違いは起きますが、大切なのは間違いの原因を突き止めて同じ間違いを繰り返さないことです。間違えやすい問題や陥りやすい失敗に出くわしたときに、「あっ、これだ! 今度は気を付けて取り組もう」と思うことができるかどうか、です。
精神科医で随筆家でもあった斎藤茂太さんは、「人生に失敗がないと人生を失敗する」という言葉を残しています。失敗することでしか学べないことがあるというほどの意味でしょうか。
来る2023年も生徒の皆さんは、どうぞ安心してたくさん失敗してください。そして、失敗から学んでください。失敗から学ぶことで、新たな失敗から立ち直る時間を短くしていきましょう。
かといって、最初から失敗をするつもりでいてはいけません。失敗しても仕方がないと思って取り組んだ結果の失敗からは得られるものは多くはないものです。
正解するつもりで取り組むからこそ、失敗から教訓も反省もたくさん得られます。
☆ご家庭の皆様には 今年も大変お世話になりましてどうもありがとうございました。
2023年もどうかよろしくお願いいたします。
新年が皆様にとりまして素晴らしい1年になりますようお祈り申し上げます。

2023.01.25

検定試験と競技大会(塾報1月号より)

◎塾報には毎月のように検定試験や大会の結果を掲載しています。
 星の郷教室では、検定試験や大会を教材の一種としてとらえています。努力すれば越えられるかもしれない目標を掲げることで、練習にもいっそう力が入ります。
 試験や大会前日の特別練習の空気には特筆すべきものがあります。受験生は他の誰でもない自分自身と向き合って、ひたすら神経を研ぎ澄ましています。年齢は関係ありません。年少者は年長者の立ち居振る舞いを見て大切なものに向き合うことはどういうことかを学び、まったく違和感なく雰囲気に紛れ込み、いつしか雰囲気を作るかけがえのない存在へと成長していきます。
 私は問題を準備し、質問があれば答え、相談があればアドバイスをしますが、生徒たちには気休め程度かもしれません。「迷ったとき、最適解を見つけ出すまでに試行錯誤を繰り返すのに必要な豊富な練習問題を提供する。」普段の授業のアプローチとは全く異なり、前日の私はこの作業に徹しています。
 それまで培ってきたものにしか答えはありません。私のアドバイスは、彼ら彼女らが持っている『答え』に彼ら彼女らが自分自身で気がつくための触媒にしかすぎないとも思えます。
◎本番では、成功も失敗もあります。
 成功や失敗は、かけるものがあり、向き合うものがあって、そこに果敢にチャレンジした者にしか起きえないものです。うれしさや悔しさは、チャレンジした者だけが味わうことのできる感情で、チャレンジしなければ、結果はただの数字でありただの判定です。成功にも失敗にもなりません。
 結果に対してうれしさや悔しさを感じられたことは、結果と同じくらい、いや、ときには結果を上回る果実を得られたことになることもあります。思いがけないほどの悪い結果の不合格であったとしても、全力で立ち向かった自信があれば堂々と胸を張っていいのです。
◎星の郷教室が試験や大会を重視している理由の一つを書いてきましたが試験や大会に参加するには時間的、経済的に負担がかかります。技術レベルが到達していないとそもそも参加できませんから万人に門戸が開かれているわけではありません。
 ですから、日常の授業がとても大切になってきます。常に緊張感や充足感を授業で提供できれば教室に通ってもらっている生徒全員が検定受験や大会出場と同等の経験を毎回積むことができるはずです。
◎緊張感は、誰かから強制されたり恐怖によるものではいけません。自分の目標や希望の実現を意識することで発生する緊張感など、内から出てくるものでなければなりません。そして、緊張感に包まれた中での取り組みから得られる結果への充足感や、ちょっとした挫折感が情緒を豊かにしていきます。
 そろばんを練習すると、珠算式暗算力に代表される計算力が養成されます。わり暗算10段レベルになると、270548÷956のような問題は3秒で答えの記入までが終了します。その圧倒的なスピードに目を奪われがちになりますが、実は習い始めた初日から日常の授業を通じて人間力向上に向けての訓練が始まっています。
◎人の一生は一秒一秒の積み重ねです。一秒を無駄にすることは人生を無駄にすることです。無駄な一秒とは、何かにつながらない一秒のことです。
 休憩に費やす時間は、疲れを癒やし次への活力を生み出すためのものですから、無駄な時間ではありません。
 無駄な時間とは、目的意識を持たず適当にやり過ごす練習時間のことを指します。
◎授業では毎時間答案の提出を義務づけています。答案は指導ポイントの宝庫だからです。
 どういう間違いをしているか。
 指導済みの内容がきちんと伝わっているか。
 弱点箇所に対する意識が育っているか。
 また同時に、答案からは練習に臨む精神状態を読み取ることができます。
 数字は丁寧に書いているか。
 意味のない書き直しをしていないか。
 実力相応の問題数を計算しているか。
 注意力散漫による間違いはないか。
◎答案には、チャレンジした答案か、そうでない答案かの2種類あります。チャレンジしている答案にはチャレンジしている方向性は正しいか否かの判断を行い、チャレンジしていない答案にはチャレンジする動機付けを考えます。チャレンジできない理由を考えることもあります。
◎成功を喜び失敗をたたえチャレンジすることをいとわない緊張感のある空間。生徒の皆さんとそんな空間作りを目指して新学期に向かっていきます。

ACCESS{アクセス}

教室名 星の郷総合教室
所在地 〒576-0022
大阪府交野市藤が尾4-6-10
電車の場合 JR片町線星田駅、または、京阪電車河内森駅から徒歩15分
自動車の場合 第二京阪道路交野南インターチェンジから5分、交野北インターチェンジから10分
国道168号線西川原交差点を西に入り、1分