塾長ブログ

2022.09.11

テレビ取材を終えて(塾報7月号より)

(生徒の作文です)

 皆さん、こんにちは。中学3年生の江口尊琉です。

 この度、全日本ユース珠算選手権大会TV出演についての感想を書かせていただくことになりました。僕のTV出演をきっかけに、そろばんをもっと頑張ろう! 十段を取りたい! と思ってくれた人が増えれば幸いです。
 4月中旬、金本先生にユース大会の取材を受けないかと打診されました。僕は、過去の放送をいつも見ていたのでとても迷いました。計算スピードに自信がなく、どの大会でも種目別決勝にはあまり残ったことがなかったからです。しかし、このような機会はもう二度とないかもしれないと思い、僕は取材を受けることにしました。
 その時点で、大会まで2週間程度しかなかったので、厳しい闘いになるのは覚悟の上、とにかく種目別の練習時間を多く取るようにしました。しかし、学校の考査の勉強やコロナワクチン接種による副反応の発熱でダウンするなど、なかなか思うように練習時間が取れず、あっという間に大会当日を迎えることとなってしまいました。
 朝、会場に着くと、取材の方々が既にスタンバイされていました。周りの人の目も気になり、僕は今までにないほど緊張していました。会場では四六時中カメラを向けられ、いつも通りの状況でないことをなかなか受け入れられず、「計算ミスしたら嫌だな」とか「計算につまって手を挙げ遅れたらどうしよう」などという弱気なことばかり考えてしまいました。結果は良い出来とは言えず、本番にうまく緊張を力に変えることができなかったと思います。撮影に関わってくださった方々、応援してくださった方々に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
 結果がふるわなかったので、TV放送のことは誰にも言いませんでした。しかし、放送終了後、数名の友達や知り合いから「TV見たよ!」と連絡をもらいました。YouTubeに上がってからは、学校の先生や友達皆に知れ渡り、思わぬ反響をいただきました。
 かくして、僕の挑戦はあっけなく終わってしまいましたが、時間が経ち、思い返してみると、失敗したことも合わせて良い経験になったなと感謝の気持ちでいっぱいです。今はコロナ禍でオンラインでの大会が多いですが、対面の大会では、1つの会場で全員が一斉に問題を解くときの緊張感など、なかなか普通では味わえないようなことがたくさん経験でき、とても勉強になります。努力が報われないこともありますが、その悔しさを乗り越えて、良い結果に結びついた時は、きっと何ものにも変え難い経験になると思います。
 皆さん、これからも楽しく練習を頑張りましょう!
-------------------
 江口尊琉くん(灘中・3年)にテレビ取材の感想を書いてもらいました。
 2008年に始まった全日本ユース大会。たまたまその数年前から「全大阪オープン大会」をニュース番組で特集していたよみうりテレビのスタッフに15歳以下の選手による全国大会を創設する話をしたところ、毎年取材が入るようになりました。『かんさい情報ネットten』という番組内で15分~20分放送されます。関西ローカルの番組ですが放送後には日本テレビや中京テレビ、中四国、九州でも放送されることもあって、視聴可能人口はかなりの数となっています。
 番組では、一つのことにひたむきに取り組む選手にスポットをあてつつそろばんの計算力の素晴らしさを知らせるつくりになっています。関西ローカルということから、その年で近畿で最も有力な選手と全国で同様の選手複数名を番組スタッフはピックアップしており、今年はユース大会の予選で満点を獲得した当教室の江口くんに白羽の矢が立ちました。コメントにも書かれていますが、慣れない取材で、普段とは違う緊張感に襲われる日々だったことと思います。
 ユース大会の出場資格は高校1年生までで、江口くんにとっては来年が最終年となります。今年の経験を糧にして一皮むけた姿で臨むことでしょう。
 福岡でそろばんを習い始め、大阪府池田市に転居してきてから星の郷に通っています。勉強が忙しい中、保護者のご理解とご援助、そして本人の努力が実を結んで現在に至っていますが、まだまだ発展途上でもあります。研究心と集中力を発揮してさらに上を目指してください。

2022.09.11

関心(塾報6月号より)

 毎月25日発行の塾報「Star EXPRESS」は今月で264号となりました。22年前発行の第1号に「不定期発行」と弱気な断りを入れたのですが、月に2回発行したこともあったりしつつ毎月出し続けています。

 一般紙やスポーツ紙を模したり、縦書きにした号もありましたが、現在はこの形に落ち着いています。
 コロナ禍で、ご家庭との連絡手段にメールやLINEを利用するようになってからは、紙ベースでの一斉配布を廃止し、ネットを利用して配信しております。
 内容は、予定や成績、競技会・検定の告知、その他行事の案内に日々の雑感などとなっており、主な連絡はすべて塾報で行っています。日々の情報の伝達、これが塾報発行の目的の一つです。
 情報には、今すぐには必要のないものも入っています。入塾間もない生徒やご家庭の皆様には、予定や成績の多くは関係のないものばかりだと思います。
 しかし、そこに友達の名前を見つけたり、検定や大会の日程などを少し意識してみていただくことで、すぐには必要のない情報が意味のある『近い将来通るであろう道筋』という情報に変化していきます。これが塾報を発行する目的の二つ目で、明確な学習目標を持つ動機付けになります。
 さらに三つ目の目的としてはそろばん学習をしているお子様や教室に関心を持っていただくきっかけの一つとなることです。
 塾報にあります現在の情報に目を通していただき、お子様の近未来に思いを馳せていただいて、日々学習に取り組むお子様や教室に関心を高めていただくことが、お子様の成長に直結します。帰ってきたら「今日はどうだった?」 お子様が何か話し出したら耳と心を傾け、「それでそれで」と話の続きに興味を示すことが、子どもの心の成長と安心感を増すことに計り知れないほどの効果を与えることでしょう。
-------------------
 今月号は、フラッシュ暗算の練習が再開されたり、暗算検定の合格者が多数に上ったことから、生徒名がたくさん出てくる賑やかな塾報になっています。
 フラッシュ暗算や大会成績、検定結果、出席時間、初歩教材の進度など、記録として残しやすいものは塾報に取り上げやすいので掲載していますが、少しずつ少しずつ最高点を更新したり、点数やページ数に表れないものの課題を克服している様子など日常の練習で起きるドラマを克明に掲載できないのが残念なところです。
 ページ数に名前が載らない生徒のテキストには、載らないだけで努力と格闘と克服の跡が克明に残されています。一日に1ページしか進まなかったり、前のテキストに戻って復習することもよくありますが、塾報に掲載することはありません。
 教室では、そろばんや暗算の技術向上を目指しながら、同時にいろいろな指導が行われています。言葉遣いや姿勢、ものの取り扱い、挨拶、声の強弱、他の生徒との距離感、指示や説明を受けるときの心構え、前向きに取り組むことの大切さ・・・・・・。これら数字に表すことができないものも塾報に掲載することが難しくてうまく紹介できないのがもどかしいところではあります。

2022.09.11

合宿再び(塾報5月号より)

 教室前方に貼っている写真をご覧になったことはあるでしょうか。

 2019年8月。まだ新型コロナの影も形もなかった頃の合宿最終日、宿舎を後にする際の集合写真です。
 2泊3日で、16時間の練習を終えたとは思えない笑顔、笑顔、笑顔。疲れているはずなのに、やりきった充実感と乗り越えた達成感が一人ずつの表情からあふれています。
 合宿1日目。朝8時に教室集合。持ち物の点検を済ませてバスに乗り込み3時間。日本海に面した旅館に到着です。部屋割り、昼食を済ませて4時間。入浴・夕食後に2時間。その後自主練1時間。計7時間の練習後班長会議を済ませて小学生は就寝します。中学生以上の希望者はミーティングルームで学校の宿題をしたり雑談をしたりと少々の夜更かしが認められています。
 合宿2日目。午前3時間、午後4時間の練習の後、天気が良ければ海岸に出て1時間ほどレクリエーションやリーダーたちが考えたゲームをして親交を深めます。
 合宿3日目。午前3時間の練習の後、部屋を掃除して帰路につきます。
 これが合宿の主な予定です。文字にするとわずかですが、参加者は濃厚な時間を過ごします。仲の良い友達が1人もおらず、勇気を振り絞って参加した生徒ほど充実した合宿を過ごすことができるかもしれません。事情が許せば全ての生徒に参加をしてほしいと思っているくらいです。
 今回は残念ながらバスも宿舎も定員一杯での実施はできないことから、合宿直後に開催される大会の申込者から合宿参加者を募ります。定員に余裕がありましたら募集枠を拡げていきます。合宿の直前には、感染状況によりすべての参加者にPCRの陰性証明の提出が必要となりますが、安心して実施できますようご協力をお願いします。
 一昨年春の初の緊急事態宣言発出から今春の第6波を経て、社会はコロナに対して身体面・精神面でかなり免疫を獲得してきたように思えます。学校行事も状況の変化に対応しながら徐々に正常化に向けて進んでいます。マスク着用緩和に関するガイドラインも政府から発表されるに至り、合宿を再開することと致しました。
 なお、緊急事態宣言やまん延防止措置の発出により直前での中止の可能性がありますことをお含みおきください。

2022.09.11

環境変化(塾報4月号より)

 4月。新しい世界に入った生徒の皆さん、おめでとうございます。慣れない生活に、普段以上の疲労感を感じている人も多いことでしょう。

 新中学1年生は、小学校時代にはなかったクラブ活動や、定期テストが始まり、心身ともに疲れる日々が続きます。
 生活範囲や友人関係、行動範囲が大きく拡がっていく中で、スマホの画面を見つめる時間が大幅に増えてくるのもこの年代。イライラして少しのことで対人関係にトラブルが発生するのもこの年代です。
 過ぎてみれば多くは笑い話に変わることでも、いざその渦中にいる間は大変なものですね。
 さて、忙しくなる中で試されるのが「時間の管理」と「集中力」です。
 中学生以降は、対処しなければならない事柄に優先順位をつけ、集中してこなしていくことを自分自身で経験していく時期になっていきます。時間を管理し、すきま時間の有効活用を意識して過ごしていって下さい。
 限られた時間にどれだけの効果を得られるかは「集中力」にかかっています。「失敗したけれど次の時間がんばろう」というのは練習時間を豊富にとることができていた年代にはできたことですが、忙しくなるとそうはいきません。一回一回が真剣勝負です。中学生期は、今まで育ててきた集中力を全力で発揮していく時期です。
 まずは、色々なことへの一通りの経験が終わる夏休み終了の頃まで頑張ってみてください。力の入れ加減、生活のリズムなどが身につくはずです。
 以前塾報にも書きましたが、練習効果は、「時間×密度×姿勢×内容」で決定されます。どれか一つでも0があると、結果はゼロ。1より小さい数字ばかりかけると、答えはすべての数字よりも小さくなります。逆に言えば、どこかが1を下回っていたとしても、他の項目が1を上回れば結果は良しです。
 「○級○段をとる」「○○大会で入賞する」でもいいですし、「力を伸ばす」でも良いです。今まで以上に日々の練習に目的意識をもって参加してください。きっと良い結果が得られますよ。

2022.04.05

自分に勝つ(塾報3月号より)

 3年前、大阪桐蔭高校の運動会を生で見ました。甲子園春夏連覇を達成したメンバーが出場するクラブ対抗リレーは圧巻で、野球部の他に全国制覇をしたラグビー部や走るのが本職の陸上部もエントリーする真剣勝負です。

 午後に予定されていたプログラムですが、昼食休憩が始まった頃にはすでにリレーの出場メンバーがトラック周辺に出てきて、クラブごとにまとまって柔軟体操を始めました。にこやかに談笑しながら30分以上は続けていたでしょうか。
 イチロー選手がオリックスでプレーしている様子を球場で何度か見たことがあります。イチロー選手はイニングの間だけでなく、投球と投球の間にもしょっちゅうストレッチをしていました。
 大きなけがをせず、四十代半ばまで第一線を走り続けたのにはこういう姿勢がものをいったのだと素人ながら感心してみていました。
 この二つの例を挙げたのは、技術を習得し使いこなすためには、愚直なまでに基礎基本を意識的にしっかりと繰り返すことの大切さがわかりやすいためです。
 星の郷教室では、同じ問題を基準タイム以内で、満点あるいは一失点でできるまで何度も繰り返して練習することがよくあり、「パワーアップ練習」とよんでいます。
 徹底的な繰り返しは、指の動きを一層なめらかにし、間違いの防止と速度アップにつなげる練習です。
 しかしながらパワーアップ練習では最初に自分で書いた答えの上に別の紙を被して計算していきますから、練習の意味を理解していなかったり今の状況から逃げ出したい生徒の中には禁じ手を使う場合がちらほらと見受けられます。
・その気になればいくらでも正解を見ることができる「複写之術」
・途中で一旦ストップウオッチを止め最短タイムになるように調整する「ワープ之術」
・自己採点後間違えた答を書き直し、最初から正解だった風を装う「なかったことにする之術」
・正解している答を間違えているものと勘違いし、わざわざ別の問題の答えを写して書き直す「すり替え失敗之術」
 パワーアップ練習とは直接関係ありませんが、術の紹介ついでに・・・
・前の席が空いているにもかかわらず後ろの席に座る「どうかそっとしておいて之術」
・死角でもない席にそこが死角だと信じ切って身を隠す「頭隠して尻隠さず之術」
・採点の列に並びながら、自分の番が近づくとなぜか後ろの生徒に先に行くようにすすめる「譲り合い之術」
・特に行きたくもないのにトイレに行く「不要不急便所こもり之術」
・仲のいい友だちと隣同士で座ろうとする「何か勘違いをしているぞ之術」
・わざわざ遠回りをして採点の列に並んだり遠回りをして自席に戻る「時間稼ぎ之術」
・壊れてもいないシャーペンを修理するふりをしている「偽修理師之術」
・何もせずにじっと壁を険しい目で見つめている「昭和ヤンキー之術」
・何もしていないのに何かをしている風を装う「アリバイ作り之術」
 これら、どこか憎めなくて人間味溢れた子どもたちは、言動のどこかに「今まさに何かの術をかけていますよ」というサインを出しています。
 意味もなく目が合ったり、机間巡視をしているスタッフの立ち位置を何度も確認したり、それはそれはおもしろいものです。
 今にも漏らさんばかりの勢いで息せき切って「トイレに行っていいですかっ!」という生徒が2階にあるトイレ目指して階段を上るその瞬間、「実はね、今日ね、……なことがあってね」と話し出すと階段のところで立ち止まって話を聞いたりしているのですから人間の膀胱とはなんとも融通が利く作りになっていることがわかるのです。
 そろばんやあんざんの練習では、取り組む身体の角度、鉛筆の濃さや数字の形、点数、間違い方などが、時として精神状態までをも雄弁に語る瞬間があります。
 やる気に充ち満ちている時は指導者が口を挟む余地など見つけられないほどで、表情、声の大きさ、歩き方からしてオーラが出ていますし、点数報告時の鼻息が違います。
 しかしどこかのバランスが崩れ、それでもなんとか体面を保とうとしていろいろとよからぬ「術」を駆使し、その場を切り抜けようとする気持ちがムクムクとわき出ているときには、答案からも表情からもなんとなく負のオーラを感じます。これは生徒の心の叫びでもあって「心の成長痛」のようなものでしょうか。
 人間は弱い生き物です。目の前に誘惑があればついつい誘いの手に乗ってしまいます。だから、そうならないために学習します。できないことをできるようになるためにがんばります。
 今までの経験上、子どもたちは、何度か直接注意を受け、あるいは注意を受けている他の生徒を見て、どういう行動をすれば正しく伸びていくか、どういう行動が学習者として好ましいものであるかを学び取って、「正しく成長する術」を身につけていきます。こうして自分に勝っていきます。
 好ましくない術の使い手から好ましい術の使い手に変わるまでに要する期間は様々です。何度も痛い目に遭わないとわからない人もいますし、たった一回の薬が効く生徒もいます。最初から好ましくない術を全く使わない生徒ももちろんたくさんいます。
 指導においては、人格を否定したり人格に注意を与えるのではなく、あくまでも行動や言動に対して注意を与えながら、「何がそういう行動に走らせるのか」という背景に考えを巡らせて対処していきます。うまくいくこともありますし、うまくいかないこともあります。現実は、ドラマのようにはいきません。時にはまったくピントはずれになっている指導もあるかと思います。
 教室だけの指導にとどまらず、ときには保護者の皆様に報告して、共同で対処をする場合もあります。繰り返し指導してもなかなか改善しないときや緊急を要するときです。すると「術」は実は教室だけで使っていたものではないことがわかることもしばしばで、そうなると保護者の皆様と教室とで共同して対応にあたることになります。
 いつか書こうと思っていた話題でしたが、いざこうして文字にすると大変なことが教室で起きているかのような感想をお持ちになるかもしれませんが、時が経てば、「術」はやがてはきれいに消え去って笑い話に昇華していくことがほとんどですからどうぞご安心ください。
 人間は実にもろく、弱く、悲しいものですが、だからこそ愛おしく、育ち甲斐も育て甲斐もある生き物です。
 そろばん教室で子どもたちが過ごす時間は一生のうちでわずかです。一分一秒たりとも無駄にしないことを目指して、令和4年度新学期のスタートを切ります。

ACCESS{アクセス}

教室名 星の郷総合教室
所在地 〒576-0022
大阪府交野市藤が尾4-6-10
電車の場合 JR片町線星田駅、または、京阪電車河内森駅から徒歩15分
自動車の場合 第二京阪道路交野南インターチェンジから5分、交野北インターチェンジから10分
国道168号線西川原交差点を西に入り、1分