塾長ブログ

2021.08.25

花は根っこがあってこそ(塾報8月号より)

  「先輩だらけ」のなかにぽつんと一人おいていかれた入会初日。自分だけが何も知らない状況というのは、なかなか出会えるものではありません。加えて、今まで経験してきた時間の流れるスピードと、目の前を流れていく時間のスピードの違いに面食らって逃げ出したくなることもあるでしょう。

 「右脳から始めます」という私の指示に「右脳忘れました」という生徒の声。文字通り解釈して、とんでもないところに来てしまったと後悔しても後の祭りです。
 「右脳」は教室で通用する「業界用語」ですが、初めての方には「???」です。「ピ」のカード、「J1」、「パワーアップ」、「到達度」、「突破」etc.
 そういえば「etc.」も最近は見かけなくなりました。高速道路の料金収受システムのほうが有名ですね。
 不安しかない初日を何とか過ごして迎えた2日目。新入生は早くも大きな飛躍を遂げます。それは、1日目に見聞きしたものが2日目にすべて活きるという経験です。1日目がないと、2日目はありません。はじめの一歩を踏み出すことがその先を切り開いていくのです。大げさに言えば、誰もが自分の人生におけるパイオニアになることができる経験をしていくのです。
 スタート時の不安感は、初歩教材PERFECTのページを進めていくうちにやがてきれいに消え去り、立ち居振る舞い、声の大きさなどに顕著な変化が現れます。PERFECT全236ページのすべての扉を自分自身の努力で開ける経験。この経験が、その後の実力の伸びを確実なものとしていく実例を私たちは毎日毎時間生徒の皆さんに見せてもらっています。根っこが確実に成長している様子を見ることができるのは職業冥利に尽きます。
 幼少年期は、地道にコツコツと根っこを形成する時期です。ともすれば、きれいな花やおいしい果実に目が行きがちですが、根っこがなければ花は咲かず、体を支えることもできません。前向きな気持ちで取り組まなければともすれば技術が退行することもあるそろばん学習は、計算力の向上を目指すだけでなく物事に取り組む姿勢も学習します。

2021.08.09

なくせ、七癖(塾報7月号より)

 「なくて七癖」という言い回しがあります。癖がないように見える人でも、詳しく観察すればなにがしかの癖があるという意味です。

 入会・体験時からすでに誰しも特徴があります。手指の動きのなめらかさ、身のこなしなど、わずか5歳であっても他のなにものでもない確固たる自分がそこに存在します。
 お兄ちゃんやお姉ちゃんがすでに習っている場合、後ろ姿や歩く姿勢、そろばんをはじくときの首の角度など、思わず吹き出したくなるほどそっくりなこともあります。特徴は持って生まれたものの影響が大きいことがわかります。DNAの底力を感じずにはいられません。
 「特徴」と似て非なるものに「癖」があります。癖には、計算中にそろばんの同じ珠を2回触ったり、答を書く前に筆記具を大きく動かすといった無駄な動き、すなわち動作に関わるものと、集中力の低下によって出てくる間違い癖という意識に関するものとがあります。
 そろばん学習はすべて「模倣」から始まります。そろばんと問題の位置関係、答を記入するときのそろばんの位置、手首の動き、珠の動かし方、親指と人差し指の役割など、体格を考慮しつつも定石に則って、見よう見まねで基本動作を覚えます。「自分のやりたい動き」をできるだけ封印し、「あるべき理想の姿」を真似ることが大切で、この段階では矯正すべき癖はありません。
 ところが、学習が進んでくると、先に挙げたような直さなければならない癖が知らず知らずのうちに身についてしまうことがあります。「知らず知らず身についた」ものは、完全に馴染んでいますから自分自身で気がついて矯正することは困難です。
 動作に関わる癖の発見は、ビデオ撮影や机間巡視で行います。質問に来たときに発見することもあります。
 また、意識に関わる癖の発見は、答案の分析で行います。点数の善し悪しではありません。指導の効果を測る物差しとして「点数」は大きな要素ですが、たとえ高得点であったとしてもわずかな失点の原因に「癖」が隠れているならば、高得点を手放しで喜ぶわけにはいかず、指導が必要となります。
 癖の指導は一度で終了することもありますが、二度三度またはそれ以上繰り返すこともあります。一旦直っていたものが、時間が経過するにつれ、またもや頭をもたげる場合があるからです。身についてしまった癖を直すには「無意識を意識する」強い精神力が必要です。身についたものを取り除くのに強い精神力が必要なのはダイエットと同じです。
 癖の矯正というと負のものを取り除いて正常に戻るイメージがありますが、実際はそこにとどまることはなく、「癖の矯正」は「技術アップ」につながることがほとんどです。「癖」が技術アップにふたをしていたため出ていくことができなかったパワーが、ふたを取り去ったことで一気に表出するというほどのイメージになるでしょうか。
 そろばん指導において基本的な計算法を教えることは、上達に必要なすべての指導の中で1割にも満たないものです。残りの9割には、癖の矯正やメンタル面強化、実力に応じた新たな計算法の指導、正確性や速度を上げるための工夫、自分自身で練習方法を組み立てるためのアドバイス、個々に応じた教材開発・教材作成などがあり、指導の枠を越えた部分に、練習環境作りがあります。
 さらにいえば、これらの要素の良否は提供側から評価するものではなく、すべて「生徒の事実」から判断されるべきものだと私たちは考えています。連続的かつ向上的な生徒の変化のみが指導に対する評価になるのです。
 癖を見抜く。癖を身につかせない。癖を絶つ。今月号は「癖」を題材にして指導の一コマを紹介させて頂きました。

2021.07.27

スピードアップのコツ

8月8日、大阪珠算協会主催でオンラインによるミニ講習会の企画が持ち上がりました。
私が担当するテーマは「スピードアップのコツ」で、時間は30分程度でしょうか。
短い時間で何をお伝えすれば良いか。
色々悩んだ結果、「能力検定1級のみとり算で満点を取るはじき方」に焦点を当てようと決めました。
そこで指や目線の動きを確認するために自分自身で1級のみとり算を久しぶりにはじいてみると・・・・・・。

はじく目的が違うと見える景色も違っていて、新鮮な発見が結構ありました。
先の6月検定で2級に合格したばかりの生徒複数名にこれらの新たな発見を伝えて、今からミニ講習会までの10日間、変化を見てみようと思います。

2021.07.22

アバカスフェスタ

 7月17日、一般社団法人大阪珠算協会主催「アバカスフェスタin2021」が開催されました。大会形式は独特で他に類をみないものですが、コロナの影響で昨年は通信制、今年は各教室をオンラインで結んでの実施になりました。
「フェスタ」とはいうものの問題内容・競技内容ともにかなりハードで、かけ算では7桁×6桁、かけ暗算では5桁×4桁の問題も出題されます。会場で実施する場合は、これらの問題に接する前に失点して席を立つ場合もあるのですが、オンラインでは失点に関係なく全員が高難度の問題に取り組むルールになっています。ムリだとわかっていても、とにかくしなければならないのです。

「殻を破る」
答案を見ると、果敢に挑んだ跡がそこかしこに見られました。
諦めるわけでも抵抗するわけでもなく、巨大な壁に真正面から対峙する「伸びたい欲求」の純粋なほとばしりの跡です。
大会が終わって3日。ルーチンの練習問題に戻った選手たちは、確かな変化を感じていることだと思います。

2021.07.21

教えるべきか教えないべきか(塾報6月号より)

 6月27日の検定試験に向けて、1ヶ月ほど集中的に練習をしてきました。
 試験は、いつもの場所、いつものメンバーで実施するものの、一発勝負の緊張感もあって独特の雰囲気が漂っていますから、ただならぬ表情で受験している生徒も出てきます。
 試験までの1ヶ月ほどの練習は、①弱点箇所の洗い出しと克服 ②速度アップ ③計算種目順決定と試験予行 の3つに時期と目的をわけて実施してきました。
 一人ずつそれぞれの時期に目指すべき目標と心がけがあって、私たちは生徒の答案を見たり、必要に応じて計時中録画して克服すべき課題を発見します。
 実は点数で表されるものは氷山の一角です。良い点数だから課題が少なく、悪い点数だから課題が多いとは一概にいえないことがあるからです。
 同じ課題をどの程度の期間引きずっているか? 克服していたはずの課題が再度浮かび上がってきてはいないか? 練習量は? 計算中の姿勢は?  表情は?
 点数だけでなく、これらの材料をすべて加えた上で、どのように調理をするか、調理後どのように生徒に提供するかを判断していきます。
 物事には、教えなければいけない場合と、気づきを待って示唆にとどめた方が良い場合とがあります。
 原理原則や定石といわれるものは教えるべきです。そろばんでいえば、珠の動かし方や計算方法は教えます。かけ算やわり算のけたの考え方も教えます。
 基礎基本の習熟不足による間違いや質問には再指導します。その指導がきっかけとなって新しい教材作りにつながることもあります。私たちには指導上の盲点を知らされるつらくもうれしいときです。
 示唆にとどめるのは、不注意による失敗や認識不足の間違いに対する場合です。
 間違い直しをする生徒自身が、「あれ、同じ答になるぞ。もしかして採点ミスかな?」というような場合に「いつもやってしまうパターンのミスかな?」と感づき、試しにやってみるとはたして感づいたことが正しかったとなって「あっ、そうか」という流れを期待しているのです。
 ここで指導してしまうと、せっかく生徒自身が気づいて、知識が知恵となり、自分の血肉となる「一番おいしいところ」を味わう機会を奪ってしまうと考えています。
 教えた方が授業としては流れていくかも知れませんし、生徒自身も楽かも知れませんが、それは目の前の困難なことから一時的に逃避できることにしかなりません。
 教育は、将来への投資をコツコツとし続ける営みです。「待つ子育て」が自己肯定感に満ちた青少年の育成にきっと寄与するものと信じて、日々取り組んでいきます。

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