塾長ブログ

2026.03.24

「かまえ」の大切さ(塾報3月号より)

 先月号では「5」の書き順について触れました。「家でいきなり5を書かされた」と話す生徒がいましたから、早速確認されたご家庭もあったことでしょう。
 今月は「かまえ」について触れてみようと思います。先月と重なる部分もありますが、大切なことなのでしばらくおつきあいください。
 そろばんの練習や勉強に取り組むとき、すぐに問題を解き始めることも大切ですが、その前に「かまえ」を整えることは、実はそれ以上に大切なことです。
 「心構え」とは、物事に向き合うための心の準備のことをいいます。
 この準備ができているかどうかで、その後の集中力や取り組み方は大きく変わってきます。
 たとえば、勉強を始める前に鉛筆を削る、机の上を整える、忘れ物がないか確かめる――こうした一見小さな行動は、単なる準備ではなく、「これから学ぶぞ」という気持ちを整える大切な時間です。武道の世界でも「かまえ」は最初に学ぶ基本であり、いきなり動くのではなく、まず自分を整えることが重視されています。
 こうした「かまえ」が整うと、不思議と心も落ち着きます。そして、目の前のことにしっかり向き合うことができるようになります。逆に、準備をおろそかにすると、どこか気持ちが散らばり、集中しきれないまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。
 「かまえ」は特別なことではなく、日々の積み重ねの中で育っていくものです。毎回同じように机を整え、同じ姿勢で取り組むことで、自然と「今は勉強の時間だ」と心と体が切り替わるようになります。この習慣は、勉強だけでなく、将来さまざまな場面で役に立つ力となります。
 さらに、「かまえ」がある人は、予想外のことにも落ち着いて対応できるようになります。あらかじめ心の準備ができていることで、困ったときにも慌てず、自分なりに考えて行動できるからです。
 子どもにとっては、鉛筆を削ることや持ち物を確認することは、ただの面倒くさい作業に見えるかもしれません。しかし、その一つひとつが、「物事に丁寧に向き合う姿勢」を育てています。小さなことを大切にする力は、やがて大きな挑戦に向き合うときの土台になります。
 だからこそ、練習の前のほんの少しの時間を大切にしてほしいのです。静かに心を整え、「よし、やろう」と思える状態をつくること。それが、学びを深くし、成長へとつながっていきます。
 「かまえ」は目に見えにくいものですが、その人の中に積み重なっていく確かな力です。小さな準備を丁寧に行うことが、未来の大きな力になる――そのことを、ぜひ大切にしていきたいものです。

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