塾長ブログ

2025年11月

2025.11.25

大阪一決定戦(塾報11月号より)

  11月23日、大阪商工会議所において『令和7年度そろばん大阪一決定戦』が行われました。結果は二面に掲載しています。
 この大会は一般社団法人大阪珠算協会の主催で、60年以上にわたって開催されています。規模も歴史も日本有数の大会です。 この大会は他の大会との比較で言えば、問題の桁数や制限時間の難易度が容易に設定されています。そのため、多くの参加者にとって取り組みやすく、練習でも本番でも常に満点を意識することになります。
 制限時間内に全問題を見直す(検算する)ことができれば、そしてできれば1回目の計算方法とは異なる方法で検算ができれば満点を獲得する確率は高まります。種目によっては2回以上検算できる場合もあり、そんな場合はさらに異なる計算方法で検算をします。
 また、全問題を検算できる速度でできないときや、途中で間違いが見つかってその問題に時間を費やした結果見直す題数が減ってしまうときは、別の有効な残り時間の使い方を考えなければなりません。
 さらに、易しいからといって集中力が途切れたまま検算をしていると、間違いに気がつかないことがあります。「見えているけれど意識に入ってこない」のです。漫然運転のような状態です。
 全力で計算しても全問題解答できないような場合は、実は考えなければならないようなことは少なくて、たいていはひたすら最後まで全力でやりぬくことが課題であり目標になります。
 しかし大阪一決定戦のように、時間が余ったりミスが許されないような場合は、目的意識を明確にもって作戦を立て、練習を重ねていく中で作戦の妥当性を確認したり作戦変更を繰り返します。
 生徒の能力や年齢によって意識の高低強弱に違いはあります。作戦の立案や遂行についても違いはあります。
 私たちは、他者との比較においてこの違いについて評価をすることはありません。「○○さんと比べてどうだ」とか「お兄ちゃん・お姉ちゃんはこうだったのに」などと言ってみたところで、無意味です。そもそも皆違います。環境も違います。同じ家族だといっても、長子かそうでないかとで生まれたときから家族構成が違います。
 私たちが行う評価は、生徒個人の意識に違いが出てきているかに尽きます。作戦を実行しているか、結果を考察しているか、対策を考えているか、悪い結果に甘んじていないか、良い結果に自惚れてばかりいないか。
 長幼は無関係です。幼稚園児であっても一日前とは別人、という例は多々あります。
 意識の変化は行動の変化になって現れてきます。良い変化は周囲にも好影響を与えます。あえてその変化を私から周囲の仲間に広めることもあります。
 意識が悪い方向に向いたときには、個別に呼んで指摘・指導をします。本人が納得するまで時間をかけるかどうかはケースバイケースです。頭ごなしに言う場合もあれば、同じ目線に立って正対したり横や後ろに立ち位置を採る場合もあります。これもケースバイケースです。
 大会は結果の扱いが大きいことからどうしても結果を重視しがちになりますが、教室として大会出場を推奨している理由は、大会の練習を通じて能力の伸びを見込むことができることにあります。
 今月号では、数ある大会の中から『そろばん大阪一決定戦』の意義について書いてみました。
 閉会式終了後、小学生1部の選手たちが賞品でいただいたお菓子を分けていました。その際、体調不良で大会を欠席した選手の名前が誰からともなく出てきて、その選手の分もきちんと分けられていました。一緒に練習してきた仲間への心遣いが自然に育ってきていたことは同じ時間を共有してきた私たちスタッフにとっても大きな喜びです。
 小学4年生以下の部で大阪一に輝いた三島良太選手。大会では中高生部門で3年連続大阪一を獲得した下川原空良選手とともに同点決勝を制しました。
 大会に向けての練習では下川原選手と2人で決勝練習に取り組む機会もありました。先輩から良い刺激をいっぱいもらえたことでしょう。

2025.11.09

発言(塾報10月号より)

  説明した内容を生徒の皆さんがどれほど理解しているかを確認するにあたって最も確実なのは、生徒の返事です。完全に理解したときは力強く短い返事があり、自信がないときやわからなかったときは返事までに時間がかかったり声が弱々しかったり、時には全く声が出ないこともあります。
 どちらにしても反応がありますから、すぐに次の対応につなげることができますが、恥ずかしかったりどう答えて良いかわからないときは返事がなかなか出てきません。
 このように、音声による発言は、その有無や程度によって状況を把握しやすいものですが、感情豊かな動物である人間には、声にはならないまでも次のような立派な“発言"があります。
◎点数発言 状況が点数にあらわれる
◎答案発言 状況が答案にあらわれる
◎表情発言 状況が表情にあらわれる
◎動作発言 状況が動作にあらわれる
◎座席発言 状況が座席にあらわれる
 一つずつ簡単に説明します。
◎人間は感情の生き物ですから、同じ練習問題に取り組んでいても、日によって、あるいは時間によって点数は大きく変動します。とくに技術的にも精神的にも不安定な発達途上にある場合、集中力の強弱がストレートに点数に表れます。
◎答案には、間違いの種類だけでなく、問題に取り組んでいたときの精神状況が如実にあらわれています。数字の丁寧さ、訂正の頻度、訂正の仕方を守る意識、問題用紙の傷み具合などから明らかになります。毎日毎時間、初歩教材はもちろんのこと、全員に答案の提出を義務づけて全枚数をチェックしているのは答案発言を確認することも目的になっています。
◎子どもたちは実に表情豊かです。自信があるときは視線をそらすことはありません。目の中には確固とした意思が宿っています。逆に、視線をそらしたり表情がこわばることで、言葉以上に感情を訴えてくることもあります。
◎答を写したり、「やめ」の合図の後に答えを書いたりしている生徒は、ほぼ百%と断言してもいいほど、私と視線が合います。よからぬことをしている生徒の視線は問題に向かず、スタッフがどこにいるかをそれこそ全身で感じ取ろうとしています。バレていないと思っている姿はなんとも滑稽で、ひときわ目立っているものです。わざわざ遠回りをして採点の列に並んだり、何かを落としてゆっくり拾ってみたり、特に用もないのにトイレにこもってみたりと、動作からたくさん読み取ることができます。
◎前から詰めて座るように、隣に必ず他の生徒がいる席に座るように義務づけていますが、それでもなお後ろのほうに座る生徒がいます。目が届かないと思っているのかもしれませんが、逆にとても目立ちますので私の視線はそちらに集中します。
 私たちの仕事は、そろばんを使った計算技術の方法を伝え、珠算式暗算力を鍛え、技術を習得していくなかで生徒の皆さんが伸び方を習得し、あらゆる能力を高める過程に寄り添うことですが、そのために必要な基本的で最も重要な要素は観察と想像・創造だと思っています。
 生徒の様々な発言を観察した結果から状況を想像し、個々に応じた教材や指導を創造する日々は驚きと発見の連続で、おちおち老け込んでいる間がないのはありがたいことです。

2025.11.09

自己効力感(塾報9月号より)

 ◎そろばんの練習は、突き詰めていえば珠を決まりに従って正しく速く弾く練習です。
 また、架空のそろばんをあたかも実物のそろばんを弾くようにして想像するのが珠算式暗算で、練習を重ねていくうちに、頭の中のそろばんの桁幅は増え、正確性も高まります。
 さらに、上達するにつれて架空のそろばんを弾く指先の微妙な動きすら不要になります。そうすると答えを書いている間に次の問題も珠算式暗算で計算することができるようになってきます。想像を超える速さで計算する有段者の暗算力は、このように頭の中で自由にそろばんの珠を想像できることによって成り立っています。
 そろばんの練習は、脳に直接良い影響を与えるだけでなく、精神面の強化にもつながっていきます。必要のない珠に触れることなく、いかにリズミカルに最小限で指先を動かすのかを突き詰める作業は、高度な集中力と忍耐力を育みます。
 いい加減な気持ちで練習に取り組むと、できていたことができなくなり、点数は大幅に下がります。力を取り戻すまでに本来なら必要でなかったはずの時間と労力を費やしてしまうことを知ります。無駄なことをしてしまったという後悔が残ると、せめてもの救いになるでしょうか。
 このように、真剣に取り組んだからこそ感じることのできるうれしさや悔しさ、楽しみや悲しみをめまぐるしく日常的に経験し、おだてられることと褒められることの違いを知り、精神的なたくましさを身につけて生徒たちは成長していきます。
◎自己肯定感と自己効力感という二つの概念があります。
 できてもできなくてもありのままの自分を認める「自己肯定感」と、実際に取り組んだ経験から得られた充足感や満足感からつむぎ出される「がんばったらできそう・やれそう・うまくいきそう」という「自己効力感」。この二つの概念は似ているようで少し違います。
  国際比較などでニュースになることもある「自己肯定感」に比べて、「自己効力感」はあまりなじみのない言葉ですが、自己効力感が高いと次のような利点があるといわれています。
①チャレンジ精神の向上:困難な課題や未経験の業務にも積極的に取り組むことができる。
②打たれ強さ:失敗や挫折をしても、すぐに立ち直り、前向きに次にどうすれば成功するかを考えることができる。
③モチベーションの維持:自分の能力を向上させる目標を高く掲げ、モチベーションを維持することができる。
 自己効力感を高めるために有効だといわれている主な方法は以下の通りです。
①成功体験を積む:目標を達成した経験を積み重ねることで、「自分ならできる」という自信が強まる。特に、時間や労力をかけて達成した経験は、自己効力感の向上に大きく貢献する。
②他者に学ぶ:他者が目標を達成する様子を観察し、「自分にもできそうだ」と感じることで、自己効力感が高まる。身近な人の成功体験から学ぶことが効果的。
③言葉がけ:他者から「あなたにはできる」といったポジティブな言葉をかけられたり、自分自身に「できる」と言い聞かせたりすることで、自己効力感が高まる。
④健全な心身を保つ:心身ともに健康な状態を保ち、ポジティブな感情(ワクワク感など)を経験することで、行動への意欲が高まり、自己効力感につながる。
 インターネットで調べて得られた定説と言われている情報をいくつか書き並べました。
 これらの概念は心理学や教育界で学問として成り立っていますからまだまだ奥が深く幅も広いものだと思いますが、全く学問的ではなくとも我々が通ってきた道から自己効力感の効果や効力感を高める方法は体験的に知っている部分が多くあるのではないでしょうか。
 子育てをはじめとする教育のあらゆる人為的な取り組みは、意識する・しないに関係なく、すべからく『自己効力感の強化』を目指して行われています。
 そろばん学習においても無論例外はなく、教室内外、関わりのあるとき・ところすべてで自己効力感を高める意識をもって生徒たちに接しています。
 習い事としての歴史が長いそろばん学習では、検定試験や競技会など、自己肯定感や自己効力感を高める「制度的な保障」が生徒の年齢・技術到達レベルに応じて豊富に準備されています。また日常の練習においても教室では多くのスモールステップを準備してきており、今現在においても新たなステップを次々と追加しています。
 毎時間、全員の得点を記録し、全員の答案に目を通すのは、生徒の皆さんの自己効力感を高める材料探しをしていることも目的になっています。
 生徒の皆さんは日々目の前の課題に真剣に取り組んで、『人格形成の栄養素』をたくさん蓄えていってください。

ACCESS{アクセス}

教室名 星の郷総合教室
所在地 〒576-0022
大阪府交野市藤が尾4-6-10
電車の場合 JR片町線星田駅、または、京阪電車河内森駅から徒歩15分
自動車の場合 第二京阪道路交野南インターチェンジから5分、交野北インターチェンジから10分
国道168号線西川原交差点を西に入り、1分